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永福の日々是好日

米国から南仏コートダジュール、そして日本定住。日々思ったこと感じたことをありのままに。

種子法廃止と種苗法改正による私たちのリスク

最近、少し注目を浴び始め、認知も高まった種子法種苗法について、
このブログを読んでいる方も耳にしたことがあるかもしれない。

かくいう永福も、去年くらいから少しずつ、種子法について学び始め、
調べれば調べるほど私達庶民にはリスクが高い改悪なことが判り、
今回のコロナでグローバルサプライチェーンの脆弱性等を認識したと同時に、
日本の食物自給率の低さ(2018年度で約30%ほど、家畜飼料の輸入を考慮するとわずか11%!!)と知り、
慌てて色々な文献を読むに至った。

ルイ16世がサクッと種子法を廃止した後、危機感を抱いた
幾つかの都道府県は直ちにそれに代わる条例を制定した。
そんな中、首都圏の食糧供給で、結構大きな役割を持つ農業の盛んな千葉は
種子法に代わる条例についてはうんともすんとも音沙汰なく、
個人的には疑問に思って月島さん相手に吠えていたところ、
調度このコロナ騒動の中、5/16期限で千葉県種子法に関するパブコメ募集をしたのだった。

言いたいことが山積みでまとめるのが大変だったが(笑)、とりあえず、
16日に県に提出したパブコメをこちらにも載せておきたいと思う。
何しろコロナの件でただでさえ日々なんだかんだと忙しい中でバタバタと書いたものなので、
乱筆乱文だし長くて退屈と思うかもしれないけど、
ここに訪れた方は、ぜひぜひ一度目を通していただければと思う。

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(※一昨年まで住んでいたプロヴァンスで夕暮れ時のワイン畑

今回は中国からだったが、これだけボーダーレスに人々が国を行き来する世の中で、
今後も感染症が流行する可能性は大いにある。そんな時に、グローバルサプライチェーンが機能しなくなり
輸入食料が入らなくなった場合、頼りになるのは自国内の食糧のみになる。
マスクや医療物資(防御服や呼吸器なども)などが、今回様々な国の間で奪い合いになっていることが
食糧でも同じように起こり得るということ。

各国内で自給率を維持しながら、それぞれの土地に特化した在来種や固有種など、
健全な輸出入ビジネス関係を築くことも可能であると私は思うんですけどね。

アマゾンやオーストラリアの大規模火災だとか、水だとか、健康だとか、
益々お金で買えないものこそ尊いなと痛感する毎日です。

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(仮称)千葉県主要農産物等種子条例案に関する意見

千葉県農林水産部生産振興課農産班宛て
 電子メール:nousan2@mz.pref.chiba.lg.jp
 FAX:043-222-5713
 郵送:〒260-8667 千葉市中央区市場町1-1
    千葉県農林水産部生産振興課農産班宛て

御意見

種子法廃止に懸念を抱いているのは、農業関係者の方々だけではなく、一般市民
も同様であることをご認識頂き、その点を条例の文言にも言及頂きたい。

種子法廃止と同時に成立した農業競争強化支援法には非常に強い懸念がある。

農業競争強化支援法8条3項には、「農業資材であってその銘柄が著しく多数である
ため銘柄ごとのその生産の規模が小さくその生産を行う事業者の生産性が低いも
のについて、地方公共団体又は農業者団体が行う当該農業資材の銘柄の数の増加
と関連する基準の見直しその他の当該農業資材の銘柄の集約の取組を促進するこ
と。」とされている。

米に関してだけ見ても、天皇家の古代米17種などを含め、
全国で1000種ほどの種類があるにも関わらず、この条項は種子の種類を数種に絞
ろうとしている様に読み取れる。

1993年に発生した全国規模の冷夏により、当時主流の作付品種であったササニシキは
江戸時代以来の大飢饉と言われるほどの壊滅的な大打撃を受けたが、
この危機を救ったのは「ひとめぼれ」という新品種であった。

アイルランドでは、主食として栽培するジャガイモが一種類だけであっ
たために海外から流入した葉枯病でほぼ全滅し、飢えによって100万人超の犠牲者
が出た
こともあり、また、アジアでは、ロックフェラー財団により広められたイ
リ米がウイルスに感染し、アジア全土の米が全滅に近い被害を被ったこともあっ
た。

また、農業競争強化支援法8条4項には「種子その他の種苗について、民間事業者
が行う技術開発及び新品種の育成その他の種苗の生産及び供給を促進するととも
に、独立行政法人の試験研究機関及び都道府県が有する種苗の生産に関する知見
の民間事業者への提供を促進すること。」と書かれている。

これまで農水省が続けてきた国の育種治験の成果により、
約65年もの歳月をかけて蓄積されてきた種苗に関する全ての知見及び知的財産権を
民間事業者に提供する、と読み取れる。

種子開発には膨大なお金、労力、時間がかかる。例えば、稲は、原原種の生産開
発から4年後にようやく一般稲作農家のもとに種が届く。これまでは、毎年2000億
円ほどの国からの予算
で厳格な種子の研究開発及び育成が行われてきたため、新
しい品種が次々と生み出され、優良な種子を安価に安定供給できる体制が保証さ
れてきた。

今後は、根拠となっていた種子法廃止に伴い、国からの予算配分の見
通しが立たなくなる
ため、自治体の種子の研究や栽培にかかる経費は都道府県で
賄わざるを得なくなり、自治体の種子開発は衰退することになると思われる。

そして、種子開発にかかる事業に参入できるのは、膨大な費用、時間、労力等を賄
える少数の企業に限られることが懸念
される。その結果、日本の農業は少数の民
間企業によって支配される可能性が高い。


上述の過去の事例からも、昨今顕著な異常気象・気候変動による凶作、ウイルス
や病原菌、害虫等による影響等を考えれば、種子の開発を民間企業に託し、その
種類を集約することは、食物の安定供給の点において不測の事態が生じる危険性
が著しく高く、今後も地方自治体による継続した多種な品種の研究開発が必須で
あると思われる。

したがって、民間企業を主体とする数種類の限られた種子が提供される事態を防ぐよう、
これまで通りに、自治体が原原種及び原種を維持し、
優良品種の研究開発、選定、育成、管理が続けられる条例を千葉県独自に制定し
ていただきたい。

さらに、農業競争力強化支援法によると、民間多国籍企業が日本で蓄積されてき
た知見を取得することができるが、これにより幾つかの問題が発生し得る。

例えば、品種の権利を民間企業へ譲渡することになれば、農家は、企業と契約を交わ
し、ロイヤルティを支払わなければ作物を育成することができなくなる。
米国に
おいては、バイオ燃料への投資により、トウモロコシ種子価格が高騰したことも
ある。

民間企業から毎年買値で種を購入し続けなければならない環境下では、民
間企業や投資家の采配による価格高騰リスクが高く、優良な種子の安定供給とは
相反する傾向
である。

現在、日本の農家が購入している種子の約70%は海外生産の輸入品であり、
多国籍民間企業が推奨している作物の種はF1種(一世代に限って安定して一定の収量が
得られる品種)である。かつては安価で購入できた野菜や果物の種子は、現在で
は殆どが多国籍民間企業の推進する遺伝子組み換え及びF1種になり、そのF1種の
種子価格は、20年間で数倍に高騰しているのが現状
である。

また、多国籍民間企業においては、種は農薬・化学肥料とセット販売されており、
全量を使い切る契約になっている。
その契約によっては、企業が指示する育成方針から逸脱すれば
、多額の損害賠償請求を起こされる危険性
もある。
(現実に、欧米や欧州、メキシコ等では民間アグリ企業による大規模訴訟が社会問題に)

日本の農薬基準はどの国よりも甘く、世界中で既に証明されている
農薬の長期的な健康への影響を鑑みれば、
大量の農薬及び化学肥料の使用が農業生産者及びそれを口にする消費者にとって
そして地球環境にとっても百害あって一利もないことは、明らかである。

種子法の廃止、及び同時に成立した農業競争力強化支援法によって今後起こり得る
前述のような事態は、主要農作物の生産性の向上や農業者の所得向上を謳う趣旨と
は正反対に、農家の生産性を低下させ、経済状況を悪化させるリスクが非常高い
内容であるという強い懸念がある。

加えて、この度のコロナによりマスクや医療関連物資が不足し、他国依存するグ
ローバルサプライチェーン及びグローバル経済における国際分業の脆弱性が表面
化した。

各国はマスクや医療防御服等の輸出制限し、これらの品目は世界的な争奪戦になっている。
この現状からも、農産物の自国生産性への回帰は不可欠であり、
国内食料自給率の向上は益々重要な課題であると考える。
その中で、首都圏へ食料を提供する大きな役割を担う千葉県が、
国産・県産作物を保護するための対応を期待したい。

また、世界全体が多国籍企業によるF1及びGMO作物に制限を設け、
Non-GMOを目指して有機栽培割合を増加
させる中、
日本だけが世界に逆行し、民間企業の提供するF1
及びGMO作物の栽培を促進する方向に動いていることに強い危機感を抱いている。

千葉県は、首都圏で主要作物及び新鮮な野菜果実を安定供給する、いわば首都圏
の食料供給における非常に重要な役割を担う県のひとつであるからこそ、世界の
有機種自家採種及び栽培への加速する流れを他都道府県に先駆けてくみ取り
、こ
れまで種子法により保証されていた原原種及び原種の管理育成、優良品種の研究
開発などを今後も継続して行うシステム、そして優良品種の種を今後は自治体の
元で農家へ安価で安定供給できるよう、条例を設立して欲しい。

また、主要作物だけではなく、千葉県の在来種・固有種にも条例を適用し、
これまで種子法により確立し守られてきた、農業生産者による自立的な育種・育苗法を、今後は千葉
県の条例により、末永く保全し守って頂きたい。

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